今回は2004年結成のロックバンド、back numberの『ヒロイン』について考察していきます。
『ヒロイン』はback numberの11枚目のシングル(マキシシングル)として2015年1月21日に発表されました。5枚目のアルバム『シャンデリア』に収録されています。
「へたれ」といえばback number…なのか?
嫁曰く「ねえねえ、『ヒロイン』って曲、知っとる?聴いてみてや、へたれだけー。」
聞けばこの曲に限らず、back numberのCDにはへたれを主人公にすえた曲が沢山あるのだとか。
嫁から、こんな紹介をされるバンドがback numberなのでした。
ちなみに「back number へたれ」でインターネット検索を行うと66万5千件がヒットしました。66万5千件というのが多いのか少ないのか判断に迷いますが、「back number=へたれ」と言う認識の方が一定数いると言えそうですね。
プロデューサーは小林武史氏
プロデューサーは小林武史氏。
多くの方がご存じだと思いますが、一言で言うと、複数のレジェンド級バンドを育てたり、極めて多くのメガヒット曲にかかわっていて、凄腕で敏腕で才腕なプロデューサーでアレンジャーで作詞作曲もこなしちゃうのが小林武史氏です。
せっかくなので小林武史氏についてもう少し触れておきましょう。
My Little Lover(通称マイラバ)をゼロからプロデュースして、作詞、作曲、アレンジ、キーボード奏者として参加。関わりまくって1stアルバム『ever green』で280万枚を売り上げるまでにしちゃいます。
Mr.children(通称ミスチル)はデビュー直後からかかわっており、日本を代表するバンドに育てました。 「業界の女の子たちから評価されるサウンドをつくろう!」とミスチルに対して声掛けしていたのを何かの記事で読みました。
サザンオールスターズの楽曲にもアレンジャーとして関わっており『みんなのうた』、『真夏の果実』、『希望の轍』を手掛けています。
My Little Loverに対するプロデュース力、ブレイク前のミスチル桜井の才能を見抜き、サザン桑田に評価される才能、それらをすべて持ち合わせたのが小林武史氏なのです。
すごいですね。音楽というより、「音楽業界」に関することならなんでもできちゃうってことでしょう。
そんな小林武史氏に「面倒見たい」と思わせたのが、今回紹介するback numberなのです。
まずは歌詞を読んでみる
さて、今回はそんなback numberの『ヒロイン』をテーマに取り上げます。
まずは歌詞から読んでみましょう。
以下、歌詞引用です。また、以降の青字は引用部分です。
『ヒロイン』 アルバム『シャンデリア』に収録
作詞作曲:清水依与吏
編曲:back number & 小林武史、ストリングスアレンジ:小林武史 & 四家卯大①君の毎日に 僕は似合わないかな 白い空から 雪が落ちた
②別にいいさと 吐き出したため息が 少し残って 寂しそうに消えた
③君の街にも 降っているかな ああ今隣で
④雪が綺麗と笑うのは君がいい
⑤でも寒いねって嬉しそうなのも
⑥転びそうになって掴んだ手のその先で
⑦ありがとうって楽しそうなのも それも君がいい⑧気付けば辺りは ほとんどが白く染まって 散らかってた事 忘れてしまいそう
⑨意外と積もったねと メールを送ろうとして 打ちかけのまま ポケットに入れた
⑩好まれるような 強く優しい僕に 変われないかな
⑪雪が綺麗と笑うのは君がいい
⑫出しかけた答え胸が痛くて
⑬渡し方もどこに捨てればいいかも分からずに
⑭君から見えてる景色に ただ怯えているんだ⑮思えばどんな映画を観たって
⑯どんな小説や音楽だって
⑰そのヒロインに重ねてしまうのは君だよ
⑱行ってみたい遠い場所で見たい夜空も
⑲隣に描くのはいつでも
⑳見慣れたはずの 街がこんなにも 馬鹿だなぁ僕は㉑君の街に白い雪が降った時
㉒君は誰に会いたくなるんだろう
㉓雪が綺麗だねって誰に言いたくなるんだろう
㉔僕は やっぱり僕は
㉕雪が綺麗と笑うのは君がいい
㉖でも寒いねって嬉しそうなのも
㉗転びそうになって掴んだ手のその先で
㉘ありがとうって楽しそうなのも 全部君がいい
不安定さを感じさせるイントロ
4/4拍子4小節と2/4拍子1小節の5小節18拍で構成されるきわめて短い前奏です。
ト長調に対し、前奏がトニックコードであるGから始まるので勢いがあるかと思いきや、拍を追うごとに弱々しくなり、すでに3小節目ではシオシオになっています。
オルガンで奏でられることで余計に物悲しさが漂いますね。
ウキペディアによると、このイントロも小林氏が考案しているそうですね。そう思うと、伏線感を感じてしまいます。
力づよさと弱々しさが混在
1番の歌詞も…
①君の毎日に 僕は似合わないかな 白い空から 雪が落ちた
②別にいいさと 吐き出したため息が 少し残って 寂しそうに消えた
①と②では主人公の感情が直接的に語られます。「君の毎日に僕は似合わないかな」「別にいいさ」の部分が直接的な感情です。
「君の毎日に僕は似合わないかな」の部分で、素敵な君に対して僕は不釣り合いであり、自分のイケてなさを自覚してます。ひと言目から主人公は弱気です。のっけから存分に弱気です。
徐々に弱々しくなるイントロの直後のセリフだけに、余計に弱気ぶりが前に出てきます。
しかし、直後のセリフは「別にいいさ」。
少々意外に感じるセリフです。
不釣り合いで、イケてない自分を自覚しながらも、「その子のことを好きだ」という点は譲っていないからです。
案外、芯の強さがある男なのかと思った瞬間、すぐさま「吐き出したため息が 少し残って 寂しそうに消えた」と続きます。すでに弱気モード。
「別にいいさ」というセリフは強がりだったということですね。
そして2番の歌詞も…
⑨意外と積もったねと メールを送ろうとして 打ちかけのまま ポケットに入れた
2番の歌詞もやっぱりヘタレ。
メールの文面まで決めていながら結局送信できませんでした。
⑩好まれるような 強く優しい僕に 変われないかな
強くて優しい性格に自分を変えたい気持ちはあるようですが、その理由は好まれたいから。どのように変えたいかを自分主導で決めていないところが、ヘタレ度高いです。
さらに「変われないかな」とあり、変われるといいなぁという漠然とした感情を表しています。絶対に変えてやる、という強い意志はここでも感じられません。
2番の歌詞もヘタレだが、重要ポイント満載
2番の⑨⑩はヘタレ描写なわけですが、それ以外の2番には重要ポイント満載です。
一つ目のポイントはこちら
⑧気付けば辺りは ほとんどが白く染まって 散らかってた事 忘れてしまいそう
これは実際の景色の変化を歌っているのではないと思います。
雪化粧により変化した風景と、自分の心の中で整理がついていなかったことを一時的に棚上げしている心情を掛けたものかと考えられます。
その棚上げされた心情は、⑬渡し方もどこに捨てればいいかも分からずに、とあることから、思いを伝えてよいものか、(振られるのが嫌だから)恋心を忘れてしまいたいのか、結局、明確な答えはだせていないので棚上げ状態継続となっています。
しかしながら、
⑫出しかけた答え胸が痛くて
⑭君から見えてる景色に ただ怯えているんだ、とありますから、本人的には、(いつか)告白するという方向性は持ち合わせているようです。でも(振られるのが)怖い。
おいおい、ちょっとは頑張れや…。言いたくなりました。
back numberやその楽曲の多くがヘタレなのかまでは言えませんが、この男の子、やはりヘタレと認定してよろしいかと思います。
恋の行方は?
みなさんも、主人公の恋の行方を気にしていることでしょう。
こんなに気持ちが弱くちゃどうにもならんわ、という考えの方もいらっしゃると思います。
でもね、私はOKもらえると思っています。
㉕雪が綺麗と笑うのは君がいい
㉖でも寒いねって嬉しそうなのも
㉗転びそうになって掴んだ手のその先で
㉘ありがとうって楽しそうなのも 全部君がいい
これらの彼女とのやり取り、私は単なる妄想だとは思えません。いささか主人公の目と感情にブーストがかかっているかもしれませんが、こんなにたくさんの笑顔を見せてくれる関係なら可能性は十分に有ると言えるのではないでしょうか。
㉕で「雪がきれい」言ってくれる彼女、そんな彼女にLOVEな主人公。あるある。
㉖は普通はありえないです。寒いって嫌だもの。でもそこで笑顔を見せられたら、男は(じぷたも)キュンキュンし過ぎて死んでしまいます。
㉘では転びそうになることですら楽しいって姿を見せられたら…(主人公とじぷたが)即死です。
ぜひとも主人公には正々堂々とした告白をしていただきたい。
結局、誰で再生するべきなのか。
広瀬すず、すごくイイ。
さて、歌詞を改めて読むと、彼女のラブリーぶりには、即死効果があることが分かるわけですが、このCDのジャケットには広瀬すずさんが映っています。
※初回限定版のみ広瀬すずさんで、通常版は作曲者の清水依与吏さんが撮影した北海道の風景が使用されています。
この曲はJR東日本『JR SKISKI(2014-2015)』のCMソングとして使われているのですが、CMには広瀬すずさんが起用されており、そのことからCDのジャケットにも広瀬すずさんの写真が使われているわけです。
2015年の頃、広瀬すずさんは16歳。映像的になドンぴしゃな人選であると思いました。
CMでは「スキー・LOVE」がテーマとして設定されており、90年台に学生時代を過ごした方々には、心に刺さるCMかと思います。
CMのテイストとしては、アルペンやビクトリアのスキーCM、JRの遠距離応援CMと同じ系統にあるものだと思いますので、『JR SKISKI(2014-2015)』のCMが気に入った方はYouTubeで「JR遠距離CM」や「スキーCMアルペン」等で検索すると、楽しめる動画がわんさか出てくると思います。
歌だけを聞くならイメージはこの人
広瀬すずさんは、このCMにジャストフィットなわけですが、『ヒロイン』を歌オンリーで聞き始めた私は、広瀬すずさんとは違う人で脳内再生していました。
その人とは…佐藤栞里さん。
モデルで女優ですが、バラエティーにも多く出演しておられまして、素朴さと笑顔が素敵な方です。日本テレビ系列の「一億人の大質問!?笑ってこらえて!」や「有吉の壁」などに出演しておられますよね。
歌だけからイメージを膨らませてきた私がこの歌のPVを作るのなら、佐藤栞里さんをキャスティングしたいです。
寒くても笑ってくれて、転びそうになることも楽しいと感じてくれるのは、この人が一番似合うと思うじぷたなのでありました。
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